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Cubase のエクスプレッションマップが便利でした|奏法の切り替えとタイミング調整

執筆者の写真: 瑠璃垣白黒
瑠璃垣白黒
9月12日
読了時間: 5分

 Cubaseのエクスプレッションマップを使ってみたら、打ち込みがとても楽になりました。特に便利だと感じたのは、奏法ごとに同じ音源をいくつも開く手間と、奏法を切り替えるためのMIDIノートを毎回書く手間が減ったことです。


 さらに、奏法によって違う音の立ち上がりに合わせて、発音のタイミングまで調整できます。「ここだけ弾き方を変えたい」と思ったときに、そのまま編集できるのが嬉しいところ。今回は、実際の制作画面を使って、便利だった点と簡単な設定例を紹介します。


奏法を変えるたびに、音源を増やさなくていい


 以前は、使いたい奏法の数だけ同じ音源を開いたり、キースイッチ用のMIDIノートを入れて切り替えたりしていました。音を作りたいだけなのに、切り替えるための作業が増えてしまうんですよね。(その後の編集も手間ですし)


 エクスプレッションマップで音源の奏法とCubase側の指定を対応させておくと、今回のようなキースイッチ対応の音源では、ひとつの音源で複数の奏法を扱えます。奏法名を見ながら編集できるので、「この低いノートは何の切り替えだったっけ?」と考える場面も減りました。


 もちろん、音源が持っていない奏法が増えるわけではありません。ひとつの音源内で切り替えられる奏法を、Cubaseから扱いやすくするための設定です。


Studio Stringsにトレモロを追加してみる


 ここからは、Spitfire Studio Stringsのヴァイオリンを使った例です。すでにLegatoとSpiccatoを登録してあるマップに、Tremoloをひとつ追加していきます。


1.エクスプレッションマップの場所を確認する


 対象のトラックを選び、画面左側のインスペクターにある「エクスプレッションマップ」を開きます。その中の「エクスプレッションマップ設定」から、設定画面へ進みます。画像の枠で囲んだところです。



01|左側の「エクスプレッションマップ設定」をクリック。


2.設定画面で、使うマップを選ぶ


 画像02は設定画面を開いたところです。今回は「v1 studio」という名前で登録したマップを使っています。(中央の「サウンドスロット」には、すでに登録したLegatoとSpiccatoが並んでいますが、最初はありません。)ここへ必要な奏法を追加し、右側で音源に送る情報を設定していきます。



02|設定画面。中央がサウンドスロット、右下がMIDIモディファイアーです。


3.サウンドスロットにTremoloを追加する


 サウンドスロット一覧の下にある「+」を押すと、追加するアーティキュレーションを選べます。今回は「Tremolo」を選択して「OK」を押します。まずは普段よく使う奏法から登録すると、試しやすいと思います。



03|サウンドスロットの「+」からTremoloを選んで追加します。


4.追加した奏法に、出力マッピングを設定する


 Tremoloが一覧に追加されたら、その行を選びます。画像では、右側の「出力マッピング」がまだ空です。ここの「+」を押して、音源へ送るイベントを追加します。奏法名を登録しただけでは音源側の切り替え先は決まらないので、この対応づけが大切です。



04|Tremoloを選び、右側の「+」で出力マッピングを追加します。


5.「データ1」を、音源のキースイッチに合わせる


 今回は「状況」を「ノートオン」にして、「データ1」をE-2に設定しています。これは、今回の例で使っているStudio Stringsのトレモロに対応するキースイッチです。Tremoloはデフォルトでは前の画像のようにF#-2となっていますので、お使いの音源に合わせた変更が必要です。



05|出力マッピングの「データ1」をE-2に設定した例です。


 ここで見てほしいのは、中央の「トリガー」欄と、右側の「データ1」欄が別だということです。画像ではトリガーがF#-2、データ1がE-2になっています。前者はCubase側のサウンドスロットを呼び出すための指定、後者は音源へ実際に送るノートです。音源のキースイッチに合わせるのは、右側の出力マッピングです。


 E-2は今回の設定例なので、別の音源やパッチでも同じ値になるとは限りません。ご自分の音源側でキースイッチを確認し、実際に切り替わることを確かめながら設定してください。


6.フレーズの一部分だけ、トレモロにする


 設定できたら、キーエディター下部のアーティキュレーション表示で、変えたい箇所にTremoloを指定します。画像では、短い区間だけトレモロにし、その後はLegatoへ戻しています。曲全体を変えるのではなく、「ここだけ」という編集の参考例です。



06|一部分だけTremoloに変更し、その後はLegatoへ戻した参考例です。


 切り替え用の低いMIDIノートをその都度書かなくても、奏法を見ながら指定できる。この小さな手間の違いが、何度もフレーズを直すときにはとても便利でした。編集後は前後を続けて再生して、切り替わる場所と、元の奏法へ戻る場所を確認しておきます。


音の立ち上がりに合わせて、タイミングも調整できる


 もうひとつ便利だったのが、奏法ごとのアタック補正(画面上の「アタックコンプ」)です。ゆっくり立ち上がる音と、すぐに鳴る音を同じ位置に打ち込むと、聴いたときのタイミングが揃わないことがあります。そんなときに、奏法ごとに発音を早めて、狙った位置に音の立ち上がりを合わせられます。


 設定する場所は、画像02の右下にある「MIDIモディファイアー」です。調整したいサウンドスロットを選び、「アタックコンプ」の値を設定します。画像ではLegatoに51 msが入っていますが、これは私の設定例で、すべての音源に共通する正解ではありません。曲のテンポやフレーズに合わせ、聴きながら調整していきます。


 この補正は、音そのもののアタックを速く加工する機能ではなく、ノートが発音するタイミングを調整するものです。奏法切り替え用のキースイッチをノートより先に送る「区切り(Separation)」とも役割が違います。奏法をまとめて管理しながら、こうしたタイミングも個別に整えられるところが気に入っています。


切り替えの作業が減ると、フレーズを考えやすい


 最初の対応づけには少し手間がかかりますが、一度設定すると、その後の打ち込みがずいぶん楽になります。同じ音源を奏法ごとに開く手間が減ったり、切り替え用のノートを毎回書かずに済み、音の立ち上がりも調整できる。今まで使ってなかった私にとって、とても便利な機能でした。(cubase13くらいで、同じ拍にあるmidi範囲選択が簡単にできるようになり、アーティキュレーション変更ノートもまとめて動かせるようになったときは便利だと感じましたが、それより圧倒的に便利でした。)


 ラフを作る際はとても便利な機能でしたので、弦楽器など、いくつもの奏法を使う音源で打ち込んでいる方は、まずはよく使う奏法をいくつか登録するところから試してみてくださいね。


参考(公式ヘルプ)





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